2010年 03月 17日
今更ながら、ヨコミネ式教育法について |
「エチカの鏡」というフジテレビの番組で、ヨコミネ式教育法と平林都のマナー研修(接遇というらしい)が話題を集めている。ふーん、という感じでテレビを見ていたのだが、いよいよ自分の娘が「学校」という世界の入り口である幼稚園に入ることもあって、ここでちょっと覚え書き。
ヨコミネ式については、全体として内容には同意できるものの「全ての子どもは天才である」などの宣伝文句が気になる。4歳で絶対音感が身に付くとか、5歳で2年生レベルの読み書きや計算ができるようになる言われているが、「○○式を実践すれば△歳で□□ができるようになります」は、2つの点で問題がある。
第1に、5歳で2年生レベルになるのはすごいことだが、2年分のアドバンテージが、一生続くわけではなく、いつかは追いつかれて「普通の人」になるからだ。跳び箱10段もすごいことだが体育系に進まなければ有り難さが半減してしまうし、ピアニカが弾ける程度の絶対音感も、天才と呼べるほどの偉業なのかよくわからない。
もちろん跳び箱を飛べたり逆立ち歩きができることは、できないことに比べて遥かにすばらしいことである。しかし「△歳で□□ができること」がその子どもにとってどのような意味があるのかを考慮せずに「ウチの子どもも天才児に!」という動機だけで子どもを預けるのは危険である。
第2に、第1のことと関連するが、ヨコミネ式ではどんな子どもでも上記のことができるようになると言われているが、仮にできなかった場合にどうするか。自分の子どもにはヨコミネ式があわなかったと考えるのではなく、自分の子どもに問題があると考えてしまわないか。
長く塾講師をしていた経験からすると、優れた講師は、全て「教科書『を』教えるのではなく、教科書『で』教える」ということを知っている。つまり、教育方法が優れていれば、素材に関係なくある程度の結果を出せるのであって、そのために教える側は、教育方法がその子どもにあっているかを観察しなければならない。
番組におけるヨコミネ式の取り上げ方だと、○○という方法をとると子どもは飛躍的に成長するということが方程式にように語られているが、期待した成果が上がらない子どももいるはずだ。現場ではそれなりの工夫や対処が行われているだろうが、時間の制約や演出の都合のためか、番組はそこを取り上げていない。
結果的に番組は「ヨコミネ式でたくましく成長を遂げた、子ども達の感動の物語」となり、「ヨコミネ式に従えば、どんな子どもも天才に」というメッセージだけが独り歩きするようになる。実際のところ、全国でヨコミネ式を取り入れている幼稚園は急増しており、影響力はかなり大きくなっている。
かつてKISSのポール・スタンレーは「山の頂上は尖っているわけじゃない。音楽も同じで、最高のバンドがいくつもあるのは良いことだよ」という名言を残した。最高の教育を与えるのが親のつとめだと言う人がいるが、私たちがすべきなのは、どれが最高かを、子どもにそれとなく決めさせることなのではないか。
ヨコミネ式については、全体として内容には同意できるものの「全ての子どもは天才である」などの宣伝文句が気になる。4歳で絶対音感が身に付くとか、5歳で2年生レベルの読み書きや計算ができるようになる言われているが、「○○式を実践すれば△歳で□□ができるようになります」は、2つの点で問題がある。
第1に、5歳で2年生レベルになるのはすごいことだが、2年分のアドバンテージが、一生続くわけではなく、いつかは追いつかれて「普通の人」になるからだ。跳び箱10段もすごいことだが体育系に進まなければ有り難さが半減してしまうし、ピアニカが弾ける程度の絶対音感も、天才と呼べるほどの偉業なのかよくわからない。
もちろん跳び箱を飛べたり逆立ち歩きができることは、できないことに比べて遥かにすばらしいことである。しかし「△歳で□□ができること」がその子どもにとってどのような意味があるのかを考慮せずに「ウチの子どもも天才児に!」という動機だけで子どもを預けるのは危険である。
第2に、第1のことと関連するが、ヨコミネ式ではどんな子どもでも上記のことができるようになると言われているが、仮にできなかった場合にどうするか。自分の子どもにはヨコミネ式があわなかったと考えるのではなく、自分の子どもに問題があると考えてしまわないか。
長く塾講師をしていた経験からすると、優れた講師は、全て「教科書『を』教えるのではなく、教科書『で』教える」ということを知っている。つまり、教育方法が優れていれば、素材に関係なくある程度の結果を出せるのであって、そのために教える側は、教育方法がその子どもにあっているかを観察しなければならない。
番組におけるヨコミネ式の取り上げ方だと、○○という方法をとると子どもは飛躍的に成長するということが方程式にように語られているが、期待した成果が上がらない子どももいるはずだ。現場ではそれなりの工夫や対処が行われているだろうが、時間の制約や演出の都合のためか、番組はそこを取り上げていない。
結果的に番組は「ヨコミネ式でたくましく成長を遂げた、子ども達の感動の物語」となり、「ヨコミネ式に従えば、どんな子どもも天才に」というメッセージだけが独り歩きするようになる。実際のところ、全国でヨコミネ式を取り入れている幼稚園は急増しており、影響力はかなり大きくなっている。
かつてKISSのポール・スタンレーは「山の頂上は尖っているわけじゃない。音楽も同じで、最高のバンドがいくつもあるのは良いことだよ」という名言を残した。最高の教育を与えるのが親のつとめだと言う人がいるが、私たちがすべきなのは、どれが最高かを、子どもにそれとなく決めさせることなのではないか。
by eastriver46
| 2010-03-17 23:06
| 日記